ワインを飲みながら音楽を聴くと、なぜこんなにも楽しいのか|音楽とワインのマリアージュ Christmas Party レポート

12月14日、広尾・La Salle F。
会場に足を踏み入れた瞬間、まず目に飛び込んできたのは、赤や緑をさりげなく取り入れた参加者たちの装いでした。

派手すぎないのに、どこか統一感がある。
それだけで、この夜が「きちんと準備された時間」であることが自然と伝わってきます。
この日行われたのは「音楽とワインのマリアージュ Christmas Party」。
3月9日に開催された前回公演から規模を広げ、今回は52名満席での開催となりました。

音楽とワインを“同時に体験する”ということ

このイベントで大切にしているのは、 音楽とワインを「合わせる」ことではありません。
プロの演奏家による生演奏を聴きながら、難しいことを考えず、リラックスしてワインを飲む。
ただそれだけなのに、音楽の聴こえ方が変わり、ワインの味わいも、いつもと違って感じられる。
その理由はとてもシンプルで、会場にいる人たちの空気が、そのまま音と味に影響していくからです。

本番前日に起きていた、予想外の出来事

実は今回の公演は、本番前日に大きな変更がありました。
当初出演予定だったのは、NHK交響楽団のチェリスト 小畠幸法 さん。
イベント前日に体調不良により出演が叶わなくなり、「チェロなしの構成で、明日の演奏はどうなるのか」という状況が生まれ開催が危ぶまれました。

偶然、日本に帰国していたチェリスト

奇跡的に急遽出演が決まったのが、チェロ奏者 稲垣 真奈 さんでした。
現在はパリ管弦楽団アカデミー生として国際的に活躍しています。
この日は、偶然にも日本に一時帰国していたタイミング。小畠さんの紹介で交渉が実り、奇跡の出演が実現しました。
本当によかった。ほっとしました。

出演者紹介

ここで、当日の音楽を支えた出演者を紹介します。

三浦いづみ(フルート)/左

4歳よりピアノ、12歳よりフルートを始める。
武蔵野音楽大学在学中より演奏活動を開始し、クラシックからポピュラーまで幅広いレパートリーを持つ。
2021年にワインエキスパート資格を取得。
ビコーズワイン公式サイトで連載中の「音楽とワインのマリアージュ」コラム執筆者でもあり、音楽家とワインの専門家、両方の視点から本企画を支えている。

浅野衣美(ピアノ)/右

武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。 在学中より演奏活動を開始し、室内楽や伴奏を中心に幅広い編成での演奏経験を重ねてきた。
大学卒業後は、ウィーンおよびハンガリーを中心とした中欧音楽圏で研鑽を積み、クラシック音楽の伝統的な解釈やアンサンブルの在り方を現地で学んでいる。
ワインエキスパート資格を持ち、音楽とワイン、空間全体を含めた体験づくりを意識した演奏を得意とする。

稲垣 真奈(チェロ)/左

東京藝術大学附属高校、東京藝術大学大学院修了後フランスへ。
パリ・エコール・ノルマル音楽院首席卒業、
パリ国立高等音楽院第2課程修了。全日本学生音楽コンクール東京大会第1位、全国大会第2位など受賞歴多数。
本公演では前日決定という状況下で出演し、第一部の完成度を大きく引き上げた。

島田裕子(ボーカル)/右

マレーシアを拠点に活動するシンガー。
国内外のイベントや、数千人規模のフェスティバルにも出演する実力派。

本公演では第二部から参加し、歌が加わることで会場の空気を一気に変化させた。

第一部:当日合わせとは思えない完成度

第一部はクラシックを中心としたプログラム。
なかでも印象的だったのが、チャイコフスキー《花のワルツ》でした。
よく知られた楽曲ですが、この日はフルバージョンでの演奏。
しかもチェロは前日決定。リハーサルは当日の合わせのみという状況です。

それにもかかわらず、フルート、ピアノ、チェロが自然に呼吸を合わせ、会場全体に一体感のある音楽が立ち上がっていきました。
三浦いづみさん、浅野衣美さん、そして稲垣真奈さん。
それぞれの経験と集中力が、この一曲に凝縮されているように感じられます。

「フルで聴くと、こんなにも豊かな曲だったのか」 そう感じた人も多かったはずです。
演奏後にはアンコールを求める拍手が鳴り止まず、この編成でもっと多くの曲を聴いていたかった ・・・そんな名残惜しさが、会場に静かに残っていました。

第二部:歌が加わり、楽しみ方が切り替わる

後半はボーカルが加わり、空気がはっきりと変わります。

このボーカル出演も、簡単に決まったものではありません。
7月、マレーシアまで足を運び、直接交渉を重ねて実現した参加でした。
マレーシアを拠点に、数千人規模のフェスにも出演するシンガー。

この夜、特に会場が大きく沸いたのが「ウイスキーがお好きでしょ」の替え歌です。
“ウイスキー”を“Because”に置き換えたこの一曲は、単なるお遊びではありません。
かつてウイスキー業界が、ハイボールという新しい飲み方を提案し、文化として大ヒットしていったように。

ビコーズワインも、ワインをもっと自由に、文化として広げていきたい。

そんな想いを込めた、オマージュとしての一曲でした。
続く「All I Want for Christmas Is You」では、 自然と手拍子が起こり、会場全体がひとつのリズムを共有していきます。

この日、なぜ一体感が生まれたのか

今回、強く感じられたのは3月9日の公演以上の一体感でした。

お客さんがワインを飲みながら音楽を楽しむ。そのリラックスした空気が演奏者に伝わり、
演奏がさらに良くなる。
するとまた会場の空気が温まり、音も、ワインも、より美味しく感じられる。
この好循環が、第一部から第二部を通して自然に生まれていました。

イベントや空間をつくるのは、演奏者や主催者だけではありません。
そこに集まったお客さん自身が、空気をつくっていく。
そのことを、強く実感させられた夜でした。

当日の演奏プログラム

first part

  • 乾杯の歌(G.ヴェルディ)
  • SHE(C.アズナヴール)
  • 戦場のメリークリスマス(坂本龍一)※ピアノ・ソロ
  • 無伴奏チェロ組曲 第1番より プレリュード(J.S.バッハ)
  • アヴェ・マリア(G.カッチーニ)
  • 花のワルツ(P.I.チャイコフスキー)※フルバージョン

second part

  • If I Ain’t Got You(アリシア・キーズ)
  • ラヴ・イズ・オーヴァー(欧陽菲菲)
  • ウイスキーがお好きでしょ(石川さゆり)※Because替え歌
  • All I Want for Christmas Is You(マライア・キャリー)
  • Never Enough(映画『グレイテスト・ショーマン』より)

次のマリアージュへ

ビコーズワインが提案する「音楽とワインのマリアージュ」は、次回、夏頃の開催を予定しています。
プロの生演奏を聴きながら、ワインを難しく考えずに楽しむ。
そんな体験は、ありそうで、なかなかありません。

季節が変われば、音の響きも、ワインの表情も変わる。
そして、その空気をつくるのは、演奏者や主催者だけではありません。
次のマリアージュを一緒につくるのは、この記事を読んでいる、あなたかもしれません。

それでは次回開催もお楽しみに♪ ビコーズがお好きでしょ♪

(吉田 淳)

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