人気コラムが生演奏に🎵 “音楽とワイン”で満たされた一日

2025年3月9日(日)、Because, ワインシリーズが贈る特別な体験イベント「音楽とワインのマリアージュ♪ 体験コンサート」が、豊島区のスペース167さんにて開催されました。

このイベントは、ビコーズ公式サイトSchool of Wine の人気コラム「音楽とワインのマリアージュ♪」をリアルに体験できる待望の企画。コラムの筆者であり、フルート奏者としても活動する三浦いづみさん、そしていづみさんと長年デュオを組むピアニストの髙野佳世子(かよりん)さんによるフルート&ピアノデュオ「ブリランテ」、さらに今回の特別ゲストとしてNHK交響楽団のチェリスト・小畠幸法さんをお迎えし、贅沢すぎる生演奏とワインのペアリングを存分にお楽しみいただきました!

左から小畠幸法さん、三浦いづみさん、高野佳世子さん

🎼 音楽とワインのマリアージュは、日本のワイン文化の新たな可能性

ワインは、紀元前6000年頃から人々の暮らしの中にありました。
古代エジプトやギリシャ、ローマを経て、キリスト教の広がりとともにヨーロッパ各地に広がっていった歴史があります。宗教儀式の場でも、宮廷の華やかな宴でも、ワインは人と人をつなぐ存在でした。
とくにオペラやクラシックの演奏会と一緒にワインを楽しむ文化は、ヨーロッパではごく自然な光景として長く受け継がれてきました。

一方、日本ではようやく近年、家庭やレストランでワインが楽しめるようになってきたものの、「文化としてのワイン」という視点では、まだ発展途上にあるように感じています。
「ワインといえば食事と合わせるもの」という印象が強い中で、音楽やアートと組み合わせて楽しむことで、もっと自由に、もっと感性豊かにワインを味わえるのではないか・・・。

今回のイベントは、そんな想いから生まれたビコーズワインならではの体験型企画です。

🎻 音楽が、ワインをおいしくする。ワインが、音楽の世界観を深める。

当日は、いづみさん&かよりんによる「愛の挨拶(エルガー作曲)」からコンサートがスタート🎵
クラシックの名曲に加え、映画音楽や現代曲まで幅広い選曲が並び、それぞれの楽曲に合わせて選ばれたワインが、演奏の前にひとつずつサーブされていきました。

今回ペアリングされたワインは、ビコーズ公式サイトSchool of Wineで連載中の人気コラム「音楽とワインのマリアージュ♪」でこれまで取り上げてきたものからセレクトされた5種類です。
いづみさんは、プロのフルート奏者であり、さらにソムリエ資格も持っており、毎月コラムの中で、演奏者としての経験とワイン知識をもとに、それぞれのワインに合う楽曲を提案してきました。

「音楽とワインの相性って、実際に体験するとどう感じるんだろう?」
そんな声をきっかけに始まったこのイベントは、いわばコラムの“リアル版”。

ワインを飲みながら聴く音楽の響き。
その音楽に寄り添うように感じられるワインの香りと味わい。
いづみさんの丁寧な解説が、参加者の想像力を自然と引き出し、音と味のつながりが静かに広がっていくような、そんな時間になっていました。

それぞれの曲に対応するワインは、いづみさんのコラムの内容を再現する形で5つ選定しました。

曲目とマリアージュ

1、愛の挨拶(エルガー)
2、夢はひそかに(フランク・チャーチル)
3、虹のかなたに(ハロルド・アーレン)
4、白鳥(サン=サーンス) × I’m Blanc de Blanc from France
5、アヴェ・マリア(カッチーニ)
6、カノン(バッヘルベル) × I’m Riesling from Germany
7、カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲(マスカーニ)  × I’m Nero d’Avola from Sicily Italy

8、無伴奏チェロ組曲 第1番・第3番(バッハ)
9、3つのダンスより 第1・3楽章(ショッカー) × I’m Pinot Noir from California
10、悲愴ソナタ 第2楽章(ベートーヴェン)【ピアノソロ】
11、Por una Cabeza(ポル・ウナ・カベーサ/カルロス・ガルデル)
12、Another Sky(葉加瀬太郎) × I’m Chardonnay from Southern France

私が当日、運営の合間を縫って体験できたのは、「白鳥」と「カノン」の2曲だけでしたが、それだけでも十分すぎるほど、音楽とワインが生み出す一体感を感じることができました。

「白鳥(サン=サーンス)」では、いづみさんのフルートがやわらかく空間に溶け込んでいくようで、それを優しく支えるかよりんさんのピアノがとにかく繊細。浮かび上がるような旋律の背景に、揺らぎと深みを与えてくれていました。

その静けさと品のあるリズムに寄り添うように、グラスに注がれたブラン・ド・ブランが、まるで呼吸するかのようにきらめいて。繊細な泡と優雅なハーモニーがぴったりと重なり合い、思わず深呼吸したくなるような余韻を残してくれました。

続く「カノン(パッヘルベル)」では、ピアノから始まるあの有名なフレーズが、安心感のある“土台”となり、その上に重なるフルートの旋律がゆるやかに、でもしっかりと進んでいく構成が印象的でした。

演奏全体が静かに流れる川のようで、そこに合わせて提供されたドイツのリースリングの透明感あるミネラルと酸が、まさにその“流れ”と調和していました。香り立つフローラルなニュアンスと音の柔らかさがリンクして、思わず時が止まったような静けさが会場を包んでいました。

🎻 小畠さんの無伴奏チェロと、ベルリンの壁

また、今回多くの方の心を震わせたのが、特別ゲスト・小畠幸法さんによる、バッハ「無伴奏チェロ組曲」の演奏でした。

演奏の前、小畠さんは一つの物語を語ってくださいました。それは、伝説のチェリスト、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチと、1989年のベルリンの壁崩壊のエピソードです。

崩れゆく壁の前で、ロストロポーヴィチがチェロを手にひとり立ち、バッハの「無伴奏チェロ組曲」を静かに奏でた——
その光景は、自由と平の象徴として今も世界中で語り継がれています。

チェロの音が鳴りはじめると、会場は水を打ったように静まりました。
「無伴奏チェロ組曲」を初めて聴く方も多かったはずですが、ベルリンの壁という世界史的な出来事をきっかけに、誰もがそれぞれの“壁”を心に思い浮かべていたように感じます。

ある人にとっては過去の記憶、ある人にとっては今抱えている葛藤や不安。
音楽がその一つひとつに静かに寄り添い、まるで感情をなぞるように響いていました。

チェロの最後の一音が消えたあと、言葉にならない感情が会場を包み込みました。涙を流す方、目を閉じて余韻に浸る方、拍手もためらわれるほどの静けさが続いたのが、とても印象的でした。

🍷 後半は、12種類のワインを楽しむ立食パーティー

演奏終了後は、ビコーズワイン12種類をフリーフローで楽しめる立食パーティーがスタート!
生演奏の余韻が残る空間のなか、グラスを片手に感想を語り合う参加者の方々の表情は、とても穏やかであたたかいものでした。

中には、ワインと音楽の相性について丁寧にメモを取りながら楽しんでいる方の姿もありました。

また、ある参加者の方は「心が洗われるようでした」と静かに感想を伝えてくださいました。音楽とワインの余韻に包まれたその言葉には、会場全体に流れていた穏やかであたたかな空気が反映されていたように感じます。演奏者とお客様が自然に語り合い、笑顔が絶えず、終了時間を過ぎてもなお多くの方が名残惜しそうに時間を過ごされていました。

イベントの最後には、「また開催してほしい」「次回は友人を連れてきたい」といったお声もいただき、我々ビコーズワインの運営にとっても、文化としてのワイン体験の広がりを感じる大切な一日となりました。

日本独自のワイン文化としての体験を、これからも

音楽とワイン。
どちらも感覚で味わうもので、正解があるわけではないけれど、ふとした瞬間に人の心にすっと入り込んでくる・・・そんな力を持っています。

今回のイベントでは、改めて「音楽とワインが生み出す一体感」の素晴らしさを実感しました。

演者の息遣いまで感じられる距離で響く生演奏。
その空間にそっと注がれるワインの香りと味わい。
そして静かに音楽に耳を傾けるお客様の表情。

すべてが自然にひとつに溶け合い、言葉では言い表せないような豊かな時間が流れていました。

ワインは、味覚だけでなく、空間や人とのつながりによっても印象が変わります。
“味わう”というより、“体験する”ものなのだと、あらためて感じる一日でした。

ワインの香りが残るなかで聴くフルートの音が、心に静かに響く…

「音楽とワインのマリアージュ」——
こうした楽しみ方も、もっとたくさんの方に届けていけたらと思います。Because, ワインシリーズ は、ただの飲み物としてのワインではなく、
“知れば知るほどワインはおいしい”という体験を届けるブランドでありたい。

次回の開催も、どうぞお楽しみに。

(ブランドマネージャー よしだあつし)

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